鈴木謙介「『消費社会論』から見る社会学」 第一回

1)「震災後」における流通、および大学生の就職活動

  • シラバスの「演習で学んだことを将来、社会人になってから活かしたいとか、具体的なビジネスのビジョンを持っているなど、強い意欲のある学生を歓迎する」という言葉が過剰とも言えない状況が、震災によってもたらされてしまった。
  • 経済、流通について。小売店はこれまで、デッド・ストックとしての在庫を減らすため、サプライ・チェーン・マネジメントの網目を全国に広げてきた。震災による流通の混乱により、少なく見積もって3-6ヶ月に渡る経済の後退が予想される。
  • 学生に就職活動について。現在の大学4年生は、(原子力発電所問題がこのまま沈静化するとして)震災後の復興需要(震災以前の「不況」状態への「景気回復」)が見込まれる秋-冬と、ずれ込んだ採用期間が重なることで、現在悲観視されているほどの雇用の減少には直面しないのではないか。
  • 今年度の採用期間のずれ込みにより、企業は来年度以降の採用スケジュールの見直しを迫られる。また、従来から指摘されてきた就活時期の見直し問題も含め、来年度以降、「大学3年の10月から始まるシュウカツ」というものが見直されると考えられる(外資、大手、中小が、それぞれの企業独自の時期に採用活動を行う)。
  • 周囲の学生と足並みを合わせることができない状況下では、個人の自律的マネジメント、キュレーションの力がより強く求められる。

2)思想と消費

  • 「消費」のイメージ、および「消費」したものの必要性について学生へ質問。
    • 回答「洗濯機用洗剤は必要、別荘は不要」。
  • 「豊かさ」と「必要のなさ」は相同である。
  • 「思想」のイメージについて学生へ質問。
    • 回答「宗教」「危険」。
  • 70年代以前、日本において「思想」とはすなわちマルクス主義を指していた。「宗教」性、「危険」性のイメージの根源。
  • マルクス主義について解説。マルクス主義と「消費」の不一致。
  • 80年代以降のポストモダン思想の、日本における異様なまでの需要。西武グループが牽引する形で、ポストモダンと「消費」はイコールで結ばれることとなる。脱西欧中心主義、相対主義記号論について解説。
  • グローバル化マクドナルド化を経た、現在の消費社会について考える。


前半は講義全体のガイダンス(班分けとか)、後半は消費社会論の基礎について講義、という形式。今後大学生の就職活動時期が細分化する、という指摘自体は何とも言えないけど、「不況」下で内定獲得に必死な学生が50社100社受ける、という構図自体が変わらなければ、結果的には就活の長期化を導くと思うし、負担は学生にかかってくる。構造変化に対処する方法が「自己分析」のままだとしたら意味ないけど、それこそが「個人の意思」ってところになるのは確かかなーと。後半は基礎タームの確認が多く、省略箇所あり。自分でも言ってらしたけど「池上彰みたい」だった。